Hard a Starboard !! = Blog =
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織姫も空を渡る。 2
2
口に銜えたままのアイスが熱気で溶け、顎を伝って首筋を流れていく。対応が遅かったため伝い落ちたアイスはTシャツの中にまで侵入していった。かるく拭ってみたもののべたべたと残る不快感がどうにも気になって、ルフィは渋々立ち上がった。
一呑みにアイスを食べ終え、棒をゴミ箱の中へと投げ入れてからルフィはTシャツを一気に脱ぎ捨てる。
アイスの染みを残した若干汗臭いTシャツを放り投げて、新しい服を取り出そうとタンスに手を伸ばしたその瞬間、窓の外からひゅんと白い塊が飛び込んできた。
目線を白い物体に移すと、それはぐしゃぐしゃに丸められたルーズリーフで。
ルフィはそれを拾い上げ、窓の外に目を向けた。この辺りは住宅街になっていて、前の道は車の往来の少ない細い道路が続いている。気配を探った先に人影は見当たらないが、この道は小学生の通学路にもなっているので、どこかの悪ガキが悪戯していったのかもしれない。
ルフィは振り返り、アイスの棒が底で転がるゴミ箱へと投げ捨てようと構えた。しかしその時、振り上げた手に一際強い西日が差して、くしゃくしゃに丸かったルーズリーフがうっすらと透けそこに文字が書かれている事に気付き、なんだか興味を引かれて振り上げた手をゆっくりと元に戻した。
しわしわのルーズリーフを拡げて、中の文字に目を通した瞬間、ルフィはおおきく目を瞠った。
“近くの公園で待ってる”
一言だけ、簡潔にそう書かれたルーズリーフ。
ルフィはタンスから適当なTシャツを引っ張り出し、脱兎の如く部屋を飛び出した。
中途半端に履いた靴のかかとに新たな折り目が深々と刻まれる中ルフィは全力で走った。頭の中に浮かぶ疑問を何度も何度も繰り返しながら・・・。
(なんで?)
(どうして今日なんだ?)
(まだ夏休みになってねぇぞ?)
(花火大会は8月前だし)
(夏祭りはやっと準備が始まったってとこなのに)
(なんで・・?)
そこは、住宅街に作られたちっぽけな公園。
ベンチが1つ、砂場とブランコだけが無造作に設置され、木陰になるような木はおろか、夏場には欠かせない水のみ場も存在しない公園と呼ぶには余りにも貧相なその場所は、普段から閑散としていた。
今日に至っては夕方になった今でも真夏日かと思える強烈な日差しが差している。そんな場所に、好き好んで居る人などいるはずもない・・・。
・・・はず、なのに。
曲がり角をまがってすぐ。
公園の入り口前へと立ったルフィの目線の先に、懐かしい金色の髪をみて、一瞬涙が溢れ出そうになった。
そいつは後ろの気配に気付き、くるりと踵を返しその目にルフィを捉えると、ふっと口角をあげてわずかに目を細めた。
「あんま、変わってねェみてぇだな。背は、・・・まちったァ伸びた方、か。」
「サンジ、・・・なんで、おまえ」
筆跡をみた瞬間、サンジだって気付いてた。けど、実際姿を見るまで半信半疑だった。
だってまずサンジのことならナミかロビンに連絡が行くはずだから。
おれやウソップやゾロなんかは、後回しだったから。
まるで幽霊にでも遭遇したかのような、ルフィの呆けきった顔にサンジは軽く肩を竦めてみせてから手持ちの荷物をその場に置いて、ルフィへと歩み寄った。
今置いた荷物と、ベンチに立て掛けられるように置かれたボストンバック。見るからにたった今戻ってきましたといわんばかりの様子にルフィは戸惑うばかりだ。
目の前までやってきたサンジは穴が開くほど自分を見つめるルフィの眉間に素早く指を突き立てる。
イテッと小さく声をあげたルフィに、サンジは眉を寄せた。
「夢見てるような面してんじゃねーよ、」
「お、おぉ。・・・サンジ、帰ってたんだな。」
「帰ってただァー?あの荷物見ただろ?帰ってたんじゃなく、今帰ったんだよ。
・・・ほら、2年ぶりのオレに対して、ほかにいうコトねぇのか?」
「あ・・・お、かえり、サンジ。」
「そ。それだよ、・・ただいまルフィ。」
ってもまだ修行終わったわけじゃねェけどな、とサンジは困ったように笑い返した。
途中で飲み物買ってきた、おまえの分もあるからコッチへ来いと、腕を引かれるままサンジの後に続いた。
黙ってついていくルフィだったが先ほどから脳内は混乱しっぱなしだ。サンジがたった今帰ってきて、目の前に居るって所までは理解した。けど余りにも急過ぎた再会劇にどう対処していいものか、考えが纏まらないのだ。
連れて来られたのは荷物が置かれたベンチの傍。でっかいボストンバックから一本のペットボトルを出して、ルフィに差し出した。ボトルの中には、いくつもの気泡がたっており、ボトル全体は多少汗をかいているがまだひんやりと冷えているようだ。
「おまえは炭酸入ってりゃ何でもで良かったよな?それともこの2年で飲み物の好み変わったか?」
「・・い、いや・・変わってねぇけど。あんがと・・」
コッチはあちぃなぁ・・、そういうとサンジは手で自身を扇ぎながらベンチに腰掛け、自分用に買ったらしいアイス缶コーヒーをカチリとあけ口をつけた。
喉を潤すことで一息ついたサンジは、未だ手渡されたペットボトルを手に棒立ちのままのルフィを訝しげに見つめた。
「・・・、ん・・?飲まないのか?」
「あ、うん・・・飲むけど、・・・その。」
なんというか・・余りにもいつも通りというか。
いや、2年間会わなかったからいつもという言い方はオカシイかもしれない。
けど、
(それにしたって普通すぎる・・・。これじゃ、まるで昨日あったみてぇな雰囲気だ・・・。)
(・・あ。)
(もしかして・・・なかったことに、なってるのか?)
(それとも、忘れられちまったかな・・?)
もしそうだとしたら、ちょっとだけ傷つくけれど・・。
でも考えてみれば、サンジはこれまで料理人になりてぇって夢を叶えるため、学業から離れてまで料理の修行に明け暮れてたんだ。
(・・おれのこと考えてる余裕なんて、なかったかもしんねーよな、・・)
「・・・ルフィ?」
「・・あ、いや!なんでもねぇっ!サンキュなサンジ、早速飲むぞ!ちょうど喉渇いてたんだっ」
何でもない風を装って、ルフィはサンジの横に腰掛けた。
キャップを捻ると中からシュワーっと炭酸の抜ける音がして、さっそくルフィは喉の渇きを潤す。
カッと喉の奥が刺激され、夏の日差しにジリジリと熱った身体がほんの少し冷えるような気がした。
一気に半分を飲み干したルフィに、サンジはゲップ出るぞ?とからかい気味に忠告してから、再びボストンバックの中に手を突っ込む。手の平におさまるほどの小さなケースを取り出したサンジは、そのケースをルフィの膝の上へぽんと乗せた。ルフィはペットボトルから口を放し、ケースに目を向けた。
「ん・・・?」
「土産。食い物じゃなくて残念がるかもしんねーけど、」
「・・土産買ってきてくれたのか?ナミとかロビンとか、女にだけしか買ってこねぇ!!って、空港で言ってなかったか?」
「へッ!?・・なんでおまえはそういう余計なコトばっかしっかり覚えてんだ・・。」
聴こえるか聴こえないかの声量でボソリと答えたサンジは、ルフィが聞き返す前にいいから箱開けろ!と声を荒げた。
ビクビクしながらもおそるおそる上蓋を持ち上げると、其処にはしっかりと包装の施されたちいさな小瓶が入っていた。
中から取り出して包装を解いてみるとそれはただの小瓶ではなく、真っ青な液体が少量入っておりその水面を小さな船が一船ぷかぷかと踊っていた。やしの木の生えた小粒の無人島も一緒に浮かんでいる。
ルフィは目を輝かせた。
「なんだこれっ、こんなちっせぇのに船かっけぇ!!!船首になんかくっ付いてんぞ!?ひまわりかぁっ!?!!」
「どうみたってライオンだろうがっ!!」
赤ちゃんの拳程度の小瓶を両手でしっかと支え下から見つめたり上から眺めたりしているルフィに、サンジは満足げに笑みを浮かべた。新しいおもちゃを手にした小さな子供のような反応も、サンジは予想していたのだろう。くつくつと喉を震わせはじめたサンジに、ルフィはムッと口を窄ませた。
不機嫌そのままを露わにしたルフィに、まぁまぁとサンジは軽く宥めてから、もう一度小瓶にルフィの意識をむかせた。
「ちいせぇけど、一応ボトルシップな・・?おまえ、海とか船とか好きだって、前言ってたろ?」
「おお、すっげぇ好きだっ!なんたって将来の夢は海賊だからなっ!!」
「あー、そうかい。んじゃその夢が叶うまではそいつで船乗ってる気分味わっとけ。本当になられてもそれはそれで問題だしな・・・」
そういうとサンジは小瓶をルフィから取り上げ、プレゼントしたばかりの綺麗な状態に戻し、再度ルフィにその箱を手渡した。幾ら見てても飽きないのだが、落として壊さないようにというサンジなりの配慮なんだろうと思い、ルフィはそれに素直に従った。
貰った箱を膝の上に乗せて、ルフィは上機嫌で空を見上げた。足をルンルンと振って、何気なくルフィは口を開いた。
「おれがこんなイイもん貰っちまったってことは、サンジのことだ。
ナミやロビンにはもっとすんげぇモン買ってきたんだろうな~!うん万円するような服とか、香水とか、アクセサリーとかか!?」
「・・っ、・・・・」
そりゃ当たり前だ!と、すぐに食いついてくるかとおもいきや、サンジの反応は予想外のものだった。
ルフィの言葉に突如押し黙ってしまったサンジ。一向に返事がこないのが気になって隣に振り向けば、サンジはボストンバックのチャックを閉めようとしていた所だったのだろう。その体勢のまま、ピタリと静止していた。
Next.…
――――――――――――――――――――――――
2ページで済ませようと思ったけど長くなったので3ページに持ち越します。
口に銜えたままのアイスが熱気で溶け、顎を伝って首筋を流れていく。対応が遅かったため伝い落ちたアイスはTシャツの中にまで侵入していった。かるく拭ってみたもののべたべたと残る不快感がどうにも気になって、ルフィは渋々立ち上がった。
一呑みにアイスを食べ終え、棒をゴミ箱の中へと投げ入れてからルフィはTシャツを一気に脱ぎ捨てる。
アイスの染みを残した若干汗臭いTシャツを放り投げて、新しい服を取り出そうとタンスに手を伸ばしたその瞬間、窓の外からひゅんと白い塊が飛び込んできた。
目線を白い物体に移すと、それはぐしゃぐしゃに丸められたルーズリーフで。
ルフィはそれを拾い上げ、窓の外に目を向けた。この辺りは住宅街になっていて、前の道は車の往来の少ない細い道路が続いている。気配を探った先に人影は見当たらないが、この道は小学生の通学路にもなっているので、どこかの悪ガキが悪戯していったのかもしれない。
ルフィは振り返り、アイスの棒が底で転がるゴミ箱へと投げ捨てようと構えた。しかしその時、振り上げた手に一際強い西日が差して、くしゃくしゃに丸かったルーズリーフがうっすらと透けそこに文字が書かれている事に気付き、なんだか興味を引かれて振り上げた手をゆっくりと元に戻した。
しわしわのルーズリーフを拡げて、中の文字に目を通した瞬間、ルフィはおおきく目を瞠った。
“近くの公園で待ってる”
一言だけ、簡潔にそう書かれたルーズリーフ。
ルフィはタンスから適当なTシャツを引っ張り出し、脱兎の如く部屋を飛び出した。
中途半端に履いた靴のかかとに新たな折り目が深々と刻まれる中ルフィは全力で走った。頭の中に浮かぶ疑問を何度も何度も繰り返しながら・・・。
(なんで?)
(どうして今日なんだ?)
(まだ夏休みになってねぇぞ?)
(花火大会は8月前だし)
(夏祭りはやっと準備が始まったってとこなのに)
(なんで・・?)
そこは、住宅街に作られたちっぽけな公園。
ベンチが1つ、砂場とブランコだけが無造作に設置され、木陰になるような木はおろか、夏場には欠かせない水のみ場も存在しない公園と呼ぶには余りにも貧相なその場所は、普段から閑散としていた。
今日に至っては夕方になった今でも真夏日かと思える強烈な日差しが差している。そんな場所に、好き好んで居る人などいるはずもない・・・。
・・・はず、なのに。
曲がり角をまがってすぐ。
公園の入り口前へと立ったルフィの目線の先に、懐かしい金色の髪をみて、一瞬涙が溢れ出そうになった。
そいつは後ろの気配に気付き、くるりと踵を返しその目にルフィを捉えると、ふっと口角をあげてわずかに目を細めた。
「あんま、変わってねェみてぇだな。背は、・・・まちったァ伸びた方、か。」
「サンジ、・・・なんで、おまえ」
筆跡をみた瞬間、サンジだって気付いてた。けど、実際姿を見るまで半信半疑だった。
だってまずサンジのことならナミかロビンに連絡が行くはずだから。
おれやウソップやゾロなんかは、後回しだったから。
まるで幽霊にでも遭遇したかのような、ルフィの呆けきった顔にサンジは軽く肩を竦めてみせてから手持ちの荷物をその場に置いて、ルフィへと歩み寄った。
今置いた荷物と、ベンチに立て掛けられるように置かれたボストンバック。見るからにたった今戻ってきましたといわんばかりの様子にルフィは戸惑うばかりだ。
目の前までやってきたサンジは穴が開くほど自分を見つめるルフィの眉間に素早く指を突き立てる。
イテッと小さく声をあげたルフィに、サンジは眉を寄せた。
「夢見てるような面してんじゃねーよ、」
「お、おぉ。・・・サンジ、帰ってたんだな。」
「帰ってただァー?あの荷物見ただろ?帰ってたんじゃなく、今帰ったんだよ。
・・・ほら、2年ぶりのオレに対して、ほかにいうコトねぇのか?」
「あ・・・お、かえり、サンジ。」
「そ。それだよ、・・ただいまルフィ。」
ってもまだ修行終わったわけじゃねェけどな、とサンジは困ったように笑い返した。
途中で飲み物買ってきた、おまえの分もあるからコッチへ来いと、腕を引かれるままサンジの後に続いた。
黙ってついていくルフィだったが先ほどから脳内は混乱しっぱなしだ。サンジがたった今帰ってきて、目の前に居るって所までは理解した。けど余りにも急過ぎた再会劇にどう対処していいものか、考えが纏まらないのだ。
連れて来られたのは荷物が置かれたベンチの傍。でっかいボストンバックから一本のペットボトルを出して、ルフィに差し出した。ボトルの中には、いくつもの気泡がたっており、ボトル全体は多少汗をかいているがまだひんやりと冷えているようだ。
「おまえは炭酸入ってりゃ何でもで良かったよな?それともこの2年で飲み物の好み変わったか?」
「・・い、いや・・変わってねぇけど。あんがと・・」
コッチはあちぃなぁ・・、そういうとサンジは手で自身を扇ぎながらベンチに腰掛け、自分用に買ったらしいアイス缶コーヒーをカチリとあけ口をつけた。
喉を潤すことで一息ついたサンジは、未だ手渡されたペットボトルを手に棒立ちのままのルフィを訝しげに見つめた。
「・・・、ん・・?飲まないのか?」
「あ、うん・・・飲むけど、・・・その。」
なんというか・・余りにもいつも通りというか。
いや、2年間会わなかったからいつもという言い方はオカシイかもしれない。
けど、
(それにしたって普通すぎる・・・。これじゃ、まるで昨日あったみてぇな雰囲気だ・・・。)
(・・あ。)
(もしかして・・・なかったことに、なってるのか?)
(それとも、忘れられちまったかな・・?)
もしそうだとしたら、ちょっとだけ傷つくけれど・・。
でも考えてみれば、サンジはこれまで料理人になりてぇって夢を叶えるため、学業から離れてまで料理の修行に明け暮れてたんだ。
(・・おれのこと考えてる余裕なんて、なかったかもしんねーよな、・・)
「・・・ルフィ?」
「・・あ、いや!なんでもねぇっ!サンキュなサンジ、早速飲むぞ!ちょうど喉渇いてたんだっ」
何でもない風を装って、ルフィはサンジの横に腰掛けた。
キャップを捻ると中からシュワーっと炭酸の抜ける音がして、さっそくルフィは喉の渇きを潤す。
カッと喉の奥が刺激され、夏の日差しにジリジリと熱った身体がほんの少し冷えるような気がした。
一気に半分を飲み干したルフィに、サンジはゲップ出るぞ?とからかい気味に忠告してから、再びボストンバックの中に手を突っ込む。手の平におさまるほどの小さなケースを取り出したサンジは、そのケースをルフィの膝の上へぽんと乗せた。ルフィはペットボトルから口を放し、ケースに目を向けた。
「ん・・・?」
「土産。食い物じゃなくて残念がるかもしんねーけど、」
「・・土産買ってきてくれたのか?ナミとかロビンとか、女にだけしか買ってこねぇ!!って、空港で言ってなかったか?」
「へッ!?・・なんでおまえはそういう余計なコトばっかしっかり覚えてんだ・・。」
聴こえるか聴こえないかの声量でボソリと答えたサンジは、ルフィが聞き返す前にいいから箱開けろ!と声を荒げた。
ビクビクしながらもおそるおそる上蓋を持ち上げると、其処にはしっかりと包装の施されたちいさな小瓶が入っていた。
中から取り出して包装を解いてみるとそれはただの小瓶ではなく、真っ青な液体が少量入っておりその水面を小さな船が一船ぷかぷかと踊っていた。やしの木の生えた小粒の無人島も一緒に浮かんでいる。
ルフィは目を輝かせた。
「なんだこれっ、こんなちっせぇのに船かっけぇ!!!船首になんかくっ付いてんぞ!?ひまわりかぁっ!?!!」
「どうみたってライオンだろうがっ!!」
赤ちゃんの拳程度の小瓶を両手でしっかと支え下から見つめたり上から眺めたりしているルフィに、サンジは満足げに笑みを浮かべた。新しいおもちゃを手にした小さな子供のような反応も、サンジは予想していたのだろう。くつくつと喉を震わせはじめたサンジに、ルフィはムッと口を窄ませた。
不機嫌そのままを露わにしたルフィに、まぁまぁとサンジは軽く宥めてから、もう一度小瓶にルフィの意識をむかせた。
「ちいせぇけど、一応ボトルシップな・・?おまえ、海とか船とか好きだって、前言ってたろ?」
「おお、すっげぇ好きだっ!なんたって将来の夢は海賊だからなっ!!」
「あー、そうかい。んじゃその夢が叶うまではそいつで船乗ってる気分味わっとけ。本当になられてもそれはそれで問題だしな・・・」
そういうとサンジは小瓶をルフィから取り上げ、プレゼントしたばかりの綺麗な状態に戻し、再度ルフィにその箱を手渡した。幾ら見てても飽きないのだが、落として壊さないようにというサンジなりの配慮なんだろうと思い、ルフィはそれに素直に従った。
貰った箱を膝の上に乗せて、ルフィは上機嫌で空を見上げた。足をルンルンと振って、何気なくルフィは口を開いた。
「おれがこんなイイもん貰っちまったってことは、サンジのことだ。
ナミやロビンにはもっとすんげぇモン買ってきたんだろうな~!うん万円するような服とか、香水とか、アクセサリーとかか!?」
「・・っ、・・・・」
そりゃ当たり前だ!と、すぐに食いついてくるかとおもいきや、サンジの反応は予想外のものだった。
ルフィの言葉に突如押し黙ってしまったサンジ。一向に返事がこないのが気になって隣に振り向けば、サンジはボストンバックのチャックを閉めようとしていた所だったのだろう。その体勢のまま、ピタリと静止していた。
Next.…
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2ページで済ませようと思ったけど長くなったので3ページに持ち越します。
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