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拍手・メールへ頂きました返信が主な更新内容です。 日記らしいことは殆ど書かないと思います()
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織姫も空を渡る。 3
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「あ、あれ・・・サンジ・・?」
見てはいけないようなものを見てしまったかのような、変なものを見てしまったかのような・・。
戸惑いまじりにルフィが声をかけると、スッと呪縛が解けたようにサンジは急に身体を起こし、顔を覆い隠すように片手でそこに浮かんだ表情を見えなくしてしまった。
そして・・・
「・・って、・・ぇ」
「ん。今・・買ってねぇって、言ったか・・?」
「・・だ。」
何故だか分からないが小声で喋りだしたサンジの口元に耳を寄せ、一字一句逃すまいとルフィは耳に意識を集中させた。今の所、“買ってねぇ”と“そうだ”って言葉は聞き取れた・・・きき、とれ・・・、
「え、えぇえ!?
サ、サンジがあいつ等に土産買って来ねぇとか、在り得ねェ!!」
「・・・・・・。」
「ん?・・今のは聞き取れなかった、なんていったんだ?」
先ほどよりも声量の落ちたボソボソ声に、ルフィは小首を傾げて問いかける。
するとサンジはむくりと顔をあげて、今日は何日だ?と突然尋ね返してきた。
「今日?・・・・・・あー・・っと、・・何日だっけ?」
「・・・7月7日。たなばた、だよ。」
「あぁそうだ!思い出したっ・・・そんで明日の7月8日が、サンジが向こうに行っちまった日で・・・。」
「・・・そっちは、覚えてんのかよ・・。」
ぽつりと呟いたサンジの頬が淡い朱色に染まる。ルフィはその変化に気付いていないようで、それがどうかしたのか?という言葉を表情に貼り付け、眉をぐんと寄せサンジを見返した。
ルフィの全く伝わっていませんとばかりの間抜けな表情に、サンジはくわっと目尻を上げ、急に怒り始めたのだ。
「だから、七夕だっていってんだろ・・・!?」
「いや、それがどうしてナミやロビンに土産買ってこなかったことに繋がるのかって聞いてるんだって!」
「そりゃっ・・・七夕、だからだよ!!!!!」
「わけわかんねーよっ!!」
はっきりと理由をいわないサンジに、ルフィも次第に熱があがっていく。ぐるるるぅ・・と唸り声があがるぐらい一歩も引かないと睨みを利かせていた二人。だが、急にサンジがハッとした様子で真顔に戻り、そしてベンチの端に置かれていたアイスコーヒーを一気に飲み干して、平静さを取り戻した。
「・・・わりぃ、ヘンに意地張ってる場面じゃなかった、」
「あ・・お、おう・・・。」
「つまり、だな。・・・それは七夕のプレゼントだ。」
「七夕のプレゼント?プレゼント贈る、なんて・・七夕にあったか?」
ルフィの中にある七夕の行事ごとと言えば、短冊に自分の願い事を一つ書いて、それを笹に括りつけるというもの。
プレゼントを贈る、なんて風習は聞いたことがなかった。
「この国じゃ、ない。
けどオレが行ってた修行地にも七夕はあって・・、そっちでは最近・・、その・・・」
「・・・・?」
「織姫と牽牛の話にあやかって、その・・・
ば、・・・バレンタインみてぇに、愛し合う者同士がプレゼントを贈りあうっていう流れが、出来てて、・・・な?」
もう一度、な?と、2度問いかけられて・・ルフィはぽかんと口を開いたまま呆けてしまった。
サンジは、一体何を言っているのだろう?言われた内容を再度反芻してみる。
バレンタイン・・?愛し合う者同士?・・・プレゼント?
「お、」
「・・お?」
「おれは、おんなじゃねーぞ??」
「見りゃ分かるわボケェっ!!気色わりぃこと言ってんじゃねぇ!!!」
つーか其処かよ一番にツッコミ入れるのはっ!!とサンジは顔を真っ赤にさせて怒っている。
でも、この赤さは怒りでヒートアップしただけとはとても思えなかった。
つまりは・・・いや、でも・・・そんなことは。
いくらルフィが鈍感だとはいえ、此処まで言われて・・そしてサンジの様子を見ていて、気付かない筈はない。
ルフィはそっと、膝の上の箱へと目線を戻した・・・。
「じゃ、じゃあ・・・これ・・・」
「それが、2年かけて考え抜いた・・・オレからの答えだ、」
不満か?と、ほんの少しむくれた様子で返したサンジをまじまじ見つめた。
本心なのか、それとも偽りなのか。サンジがこの手の嫌がらせをするようなヤツではないことは知っていた。
ただ、見つめれば見つめるほど表情を赤らめていくサンジの姿を見るまでは、とても確証が持てなかったのも事実だった。
ルフィは再び大きく目を瞠って、・・・そして、呆けたように呟いた。
「・・・奇跡だ。七夕の、奇跡だ・・・。」
するとサンジがフンと鼻を鳴らして、照れくさそうにそっぽを向く。
「奇跡でもなんでもねーよ、てめぇが全部仕組んだことだ。
・・・この2年、電話はおろかメールの一つも寄越さねェ。おまえの情報得るのに、それとなくナミさん達から聞いてはひと安心して、・・クソっ、思い出すだけで腹立たしいぜ、一発おもっきり蹴らせろ!」
「えぇぇーーーー!?!」
照りつけた西日はすっかり落ちて。夜空に一際輝く美しい星が、2つ・・・。
年に一度、出会うことを許された彼等もまた、ひと時の再会に酔いしれ、逢瀬の時間を紡ぐのだろう。
「・・また直ぐに、離れることになるかもしれねぇけど、」
「想いは、変わらねぇから。」
繋いだ想いは、決して切れはしない。
《2012年 7月7日 七夕》
END
――――――――――――――――――――――――
所用が出来てしまって遅くなったぁぁあ!!
といっても、リアルタイムで待ってたって人はおそらく居ないと思う・・・思うから、きっと大丈夫だ・・うん・・。
ちなみに七夕にプレゼントのくだりは、実際あります。
日本ではなく、中国とかアジアの方ではそういう風習が出来つつあると、wikiで読みました。(
小話なのにちょっと長くなってしまった・・・小説の方にあげ直そうかな・・。
ではでは、即席七夕小説でした!
所用が出来てしまって遅くなったぁぁあ!!
といっても、リアルタイムで待ってたって人はおそらく居ないと思う・・・思うから、きっと大丈夫だ・・うん・・。
ちなみに七夕にプレゼントのくだりは、実際あります。
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