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織姫も空を渡る。 1
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ギラギラと照りつける西日差し込む部屋で、溶けかけのアイスを銜えたルフィ。
壁にぶら下げられたカレンダーをじっと睨みつけては、物言いたげな表情を浮かべてぼんやりと天井を見上げたのだった・・・。
想い人が夢を叶えるため海の向こうの、遠い国にいる祖父の下へ修行に出たのが大体一昨年の今頃だっただろうか。
『ナミさんやロビンちゃんに悪い虫がつかねェよう、しっかりお守りするんだぞ!』
別れを惜しむよりも、友人(女性に限る)の身の心配ばかりする彼に相変わらずだな、正月ぐらいは戻ってこいよな!と口々に簡単な挨拶を済ませる仲間達の一歩後ろで、おれはその様子をただ呆然と見ているだけだった。
彼の乗る飛行機の搭乗アナウンスが流れて。ボストンバックを肩に下げた彼は、最後の最後まで女性陣ばかり気に掛け、その他の野郎共には素っ気無く別れを告げ、くるりと踵を返しこちらを一度も振り返ることなくあっさり旅立っていった。
どんどん、どんどん。その背が小さくなって・・・完全に姿が見えなくなる瞬間まで、
おれはずっと、見ていることしか出来なかった。
(きょねんは、・・そう。 たいふうが、きてたんだっけ・・?)
―― 去年の今頃。
結局その年の正月には戻って来られなかった彼から夏には戻れそうだ、と連絡が入ったとナミから聴いた。
楽しみだなぁと口々に言って笑い合う友人達の横で、おれはまた複雑な気持ちになった。
―― 会いたいようで、会いたくなくて。
心の準備が整わないまま迎えた彼の帰省日前日。
暴風と雷雨を伴う大型の台風が上陸し、全域が大嵐に見舞われた。もちろんそんな天候の最中、飛行機が正常に運航する筈はなく彼の帰省も見送りとなってしまい、帰ってきたら皆で行く予定だった花火大会や町主催の夏祭りからすべて、嵐と共に消え去っていった。
―― 修行者の身というのは、なかなかに不自由らしく融通が利かないようで。
今年の正月も結局帰ってこなかった彼に、今年の夏こそは戻って来い!!と、鬼の形相をしたオレンジ色の髪の女性に電話口で怒鳴られ、今年の夏こそは何があろうと戻ってくると彼女に誓いを立てていたと、その場に同席していたらしい長鼻の友人から聞かされた。
具体的な日にちは決まってない。ただ大雑把で、
―― 『夏』になったら戻ってくる。
(じりじり、・・・じりじり・・・あちィ・・・)
ルフィは再び目線をカレンダーに向けた。
白地に黒の印字が施された、新聞屋からのもらい物の質素なカレンダーに一際映える赤色の丸印。
日付部分を囲うように記されたその赤いマークは、今月の後半になればなるほど数が多くなっていく。
つまりは、海の日以降・・・。
夏休みに入ってからの、夏のイベントがある全ての日に、マーカーが施されているのだ。
(あかい、まるが・・・ちかづくにつれて・・・、)
―― おそらく帰ってくるんだろう、・・・アイツが。
(・・・このまま、・・とけねぇかなぁ・・・、)
―― このキモチと、一緒に・・・。
“サンジが好きだ”
旅立つ前の前日に呼び出して唐突にそう告げると、何の冗談だよ、と笑われて。
“ウソじゃねェ、本気だ”
その言葉にサンジの顔は固まった。
“おまえが遠くに行っちまう前に、言っときたかった”
そういうとサンジの表情は歪んだ。そんとき、あ・・やっぱメイワクだったんかな?ってちょっと思った。
“今度帰ってくるまでに考えといてくれ、”
みるみるうちに難しい顔になっていくサンジ。自分がそうさせたとはいえ、みてらんなかった。
(なんで、・・あんなこと、・・いっちまったんだろう・・)
(むりだ、っていわれるのがイヤで、・・むだに、さきのばしにした・・・)
(あいたいな、さんじ・・)
(・・・あいたくねぇよ・・・さんじィ・・・)
空港で別れるとき、あいつは一度もおれを見なかった。
もうそれが“答え”なんだろうと、頭ン中では結論がついていて。
それでもサンジを諦めきれない自分が悪あがきをして、ずるずる、ずるずると今日までみっともなく引き摺ってきた。
―― いい加減、終止符を打って欲しい。
(・・早く、夏・・終わらねェ、かな・・・?)
Next.…
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続きは今書いてます。(!?
とりあえず今日中には書き終えますー。
誤字誤脱誤植は許してねん♪
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