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拍手・メールへ頂きました返信が主な更新内容です。 日記らしいことは殆ど書かないと思います()
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小話:『似てなくたって、』 [ep.2] -登校編-
―― 覚醒した後のルフィは、とにかく五月蠅い。
「サンジ、おかわりっ!!
トーストと、ハムステーキ後3個と、スクランブルエッグベーコン多めで!あ、あとドリンクももうねぇから新しいの」
「自分で取ってこんかぁぁぁいいいっ!!!!!!」
キッチンまで特別特急便だ、と振り上げられた足は見事にルフィの背中にクリーンヒットして、ルフィは目的の場所まで瞬間的に移動することに成功した。
・・・着いた瞬間、ぐったりと床に伸びていたりもするのだが、多少の犠牲ということで流すとしよう。
(あれぐれぇでどうにかなるヤツじゃねぇと分かってるから、できることなんだけどよ・・・。)
「・・・~~っ、いってぇ~・・・サンジひでぇぞ!
毎日毎日、サッカーボールみてぇに容赦なく蹴り飛ばしやがってぇ!!おまえは兄ちゃんをなんだとおもってんだっ」
「あ、わりぃ。出来の悪いサンドバックかと・・」
「バカになったらどうしてくれんだっ!」
「大丈夫だ、それ以上バカになったとしてもそう大差ねぇだろうから」
ズズ・・と、優雅に食後のコーヒーを啜ったサンジに、ルフィは何度もひでぇ、ひどすぎるぞサンジ・・・とぼやきながらもキッチンの前へと立てば・・。
二人分の朝食にしては余っている料理の多さに気付いて、ルフィはサンジの方へと振り返る。
テレビでは“今日の占い”というコーナーが始まり、サンジは興味なさげな様子でぼんやり占い結果を眺めていた。
再びルフィはキッチンへと目をやって、ふっと頬を緩ませたのだ。
「ルフィ、ネクタイ曲がってる。」
「んん、これ結ぶの苦手だ・・・おれがやると絶対ヨレヨレになっちまう・・・」
「もうオレ達2年だぞ?いい加減慣れろよ・・・、ほら、こっち来い。」
嫌味ばかりを並べ立てるサンジだが、言いつつもルフィを引き寄せその首元に手を伸ばす辺り、相当素直じゃないといえる。結び方は、・・・まぁ問題ない。が、ルフィは結ぶときに力任せに引っ張る癖がある。その所為でヨレてしまった部分の生地を指の腹で正しい折り目にしようと圧力をかける。
「こりゃアイロンかけねぇと直らねぇかもな・・・。帰ったらすぐ出せよ?昨日洗ったヤツと一緒に掛けとくから。」
「おぉ!・・・んじゃ、今日一緒に帰えるか?」
「い・や・だ。別に一緒に帰る必要はねぇだろうがっ!」
「むー・・・一緒のほうが絶対楽しいのになぁ~」
口を尖らせてみせたルフィに、サンジはハァと大袈裟に溜め息をついてから、ぼそっと呟いた。
「・・・おまえと帰ると、失費がひでぇことになるからヤなんだよ。」
「あ、サンジ!おめぇまたおれの悪口いっただろっ!聴こえてねぇけど聴こえたぞっ!!」
「なんだよ、それ。」
ブーブーと膨れっ面で暴れだしたルフィの背を「ほら、学校行くぞ、」と宥めるように叩けば、ルフィはすぐさま怒りを引っ込めてサンジの言うとおりに従ってくれる。
この切り替えの良さだけは、称賛に値するかもしれないとサンジは日頃から思う。
感情豊かなルフィと違って、サンジはポーカーフェイスを気取ってあまり感情を前へ出そうとはしない。
自分の思ったままに感情を露わにしてみせるルフィを、サンジは少し羨ましく思っていた。
(ルフィみたいに、好きなものを“好き”だと、ハッキリ言えれば・・どれだけ、)
―― 救われるのだろう、と。
欲しいものがあっても、“欲しい”と素直に言えない子供だった。
そんなサンジを気遣って、いつも代弁してくれていたのが、兄のルフィだった。
双子なのか、どうかは分からない。が、ルフィはサンジの隠そうとする気持ちや想いを敏感に察知してくれる。
自分よりも、幾分か小さめなルフィの背中。
(オレは、いつだってこの背を追ってるんだ・・。これからも、ずっと・・)
玄関前に到着した二人は、くるりと方向を変えてお互い向かいあって目線を合わせた
「よし、じゃあ最終チェックな。」
「おう!」
二人は指を互いの身体に向けてビシッと指差した。
「制服、OK。」
「ネクタイもOKだなっ」
「当たり前だ、さっき直したばっかだろっ!」
「しし、それもそーだ。弁当、OKだぞ」
先ほど朝食を食ったばかりだというのに、もう弁当に食いつきをみせるルフィ。
幾らなんでも底無しすぎんだろう・・・と、サンジは心の中で呟きつつも、さてそろそろ雲行きが怪しくなってくるぞ、とルフィのズボンに向かって指を差した。
「ハンカチ。」
「・・・・・カバンの中?」
「ポケティ」
「・・・・・・・・それも、カバンの中、・・・かも。」
「・・・・・・・・。」
ズボンのポケットの中を確認しながら戻ってきた曖昧な返答に、サンジの苛立ちは徐々に上昇していった。
なにも、完璧なものを求めているわけではない。そこまで几帳面でなければならないというわけでは、決してない。
端からルフィにそんなものを求めた所で、裏切られるのは目に見えているのだから。
ただ、ただ・・・な?
サンジは、視点を下げたときに気付いたルフィの重大な欠陥を指摘するべく、足元に向けて重い指先を指し示した。
「じゃあよ・・・カバン、何処にあんだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。」
もう朝だけで4回目だぜ・・・
勘弁してくれよ、兄(?)さん・・・・・。
END
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※二卵性双生児 de ルサンorサンル(どっちでも読めると思うので。
結構1時間で書けるものだなぁと、スラスラ続きを書いてみた。
予定では登校する直前ぐらいまでは練ってたんだけど、予想以上に長くなりそうだったので一度区切りを入れてみた。
結果:もう少しだけ、続くんじゃ。
や、まぁ・・拍手とか貰えるなら全然続けていきますけどもね?w(絶賛物欲モード中
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